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2012.05.27 Sunday 
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うがちよみ2

初雪の二十六万色を知る 田中裕明

初雪の景色。
はるか上から降りてくる雪片の一つ一つは実は白くない。
雲のなかから、黒いものとして降ってくる。
地上に近くなるにつれ、灰色となり、白色となる。

「上見れば虫コ 中見れば綿コ 下見れば雪コ」
というわらべうたもあるらしいのだけれど、
その歌のことを私はよく知らない。
しかし描かれている景色や、色を分解する発想は似ているとしていい。

ただ田中裕明にとって、
その黒から白に連なる諧調は、三ではなく、二十六万になる。
私も三よりは多いと思う。
闇と光の間の明度をデジタライズすることができるなら、
それ位の数はあって不思議ではない。

また、この膨大な数は
どことなく二元論などとは無縁の混沌の世界を示しているようでもある。
だから音のなめらかさの都合があえば、
「二十七万」でも「二十八万」でもよかったのだと思っている。
逆にこの「二十六万」に特別の意味を探ろうとする欲がはたらくと、
難解に思えるかもしれない。

しかし、私はここで「二十六万」が何かあえて考えないでおきたい。
エニグマとして残しておく。
そういう初読のときの不可侵の語彙の手ざわりを忘れたとき、
ものを読む愉しみも消えてしまうのではないかなどと思ってもいる。

もともとコンピュータの色の諧調を示す数だそうだが、
それを知ったからと言って格段に読みが深まるわけでもないだろう。
人間は混沌が「混沌」であることを知っている。
言葉は言葉を越えないのだ。

作者は一九五九年生まれ、二〇〇四年没。
掲句は第三句集『櫻姫譚』より。



2011.03.29 Tuesday 21:43
Hiroaki Tanaka comments(0)
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2012.05.27 Sunday 21:43
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