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一定期間更新がないため広告を表示しています 2012.05.27 Sunday
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Last night (2011) Satoshi Fujita
ニヒリズム
山口優夢の第一句集『残像』が、2010年代の俳句の1つの解を与えるだろう。高柳をロマンチシズムの作家、御中をセンチメンタリズムの作家とするなら、山口はニヒリズムの作家だろう。 戦争の次は花見のニュースなり 台風や薬缶に頭蓋ほどの闇 細部(ディテール)の摩滅。残滓感の抒情。 ロックン・オムレツ
タイトルだけでピンと来た方は、かなり詳しい方かと思う。 「ロックン・オムレツ」は、90年代後半にとある子供向け番組で流れていた曲で、森高千里の曲だ。数十人の女子が椅子とフライパンを使ってダンスしていたような場面が、おぼろげながら記憶として今も頭に残っている。 この曲の破壊力は、メロディや森高千里の声の良さもさることながら、歌詞のわかりやすさにある。とにかく歌詞がキャッチーなのだ。一文の単語数が少なく、具体性があり、なおかつ明瞭な対比が用いられている。これは大統領演説のライターが採用する演説文の手法でもある。 うちのママはパパと仲良し ほんとめったに二人ケンカをしない そう秘訣はね 朝ご飯なの ママが作るオムレツを 一度食べたら すきやきもしゃぶしゃぶも とてもとてもかなわない オムレツ上手は料理上手さ そして料理上手は愛情上手 パパもママには愛され上手 パパが食べるオムレツは どんな味かな チョコレート アイスクリーム 甘い甘い愛の味 ママが作るオムレツを 毎朝食べる そんなパパ そんなパパ とてもとてもえらいパパ パパは今朝もまたオムレツ食べる そして毎朝毎朝オムレツ食べる ママは厳しい 愛情上手 パパもなかなか 愛され上手 前半の歌詞のために、私などは「オムレツは幸せな家庭の象徴である」という概念をいつのまにか刷り込まれてしまっていた口である。ちなみに私の母親はオムレツが全く作れず、目玉焼ですらよく焦がしていた。また、今改めて後半部分を聴くと、味わいのある歌詞でもあると思った。しかも、「愛とは相互理解あってこそ」と看破する作中主体(この家庭の子供)は年齢に似合わず、なかなかニヒリスティックである。
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